線路が間近に見えた頃に出会った本
ずっと浮かないどころか、絶望的なハナシをしていると、そんな自分にも疲れてくる。
どのように出会ったのかもはや全く記憶にないのだが、「大河の一滴」(五木寛之著、幻冬舎文庫)を手にした。ベストセラーだったから書店で目に入ったのだろう。買い求めたのは2000年12月7日(木)午後三時過ぎだ。茶色に変色した書店のレシートが挟まっていた。平日じゃないか。きっと会社を午後半休でも取って、ほっつき歩いていたのだろう。読書嫌いの自分が何度も読み返した数少ない本だ。
「私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある。最初は中学二年生のときで、二度目は作家としてはたらきはじめたあとのことだった」
と最初に目に飛び込んでくる。2000年12月は、「祝!大江戸線全線開通」した時で、線路わきのその看板が間近に見え、吸い込まれそうになったことを覚えている。
「人生は苦しみと絶望の連続」であり、「なにも期待しないという覚悟で生きる」というこのエッセイはその時の自分をしっかりと支えてくれた。
「人間はだれでも本当は死と隣りあわせで生きている」
「そう考えてみると、この<生きている>ということもまた、なかなかたいへんなことなのだなあ、と感じられてくる」
「物事をすべてプラス思考に、さっと切り替えることのできる器用な人間ばかりならいいだろうが、実際にはなかなかうまくいかない」
など、序盤から何の遠慮なく、死や孤独や生きづらさ、萎える心に触れられている。
「人生の苦しみの総量は文明の進歩と関係なく一定なのだ」
実感はできないが、そうだろうなという想像はつく。

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