2020年8月29日土曜日

万年筆は万年書けるか


1995年に香港駐在員となった際、万年筆を買った。Parker Sonet Indigoというブルーのまだらの万年筆だ。当時住んでいた尖沙咀(チムサッチュイ)のサービスアパートそばにあった「東急百貨公司」で購入した。

ペン先が汚れている


万年筆は父の形見の品を持ってはいたが調整が悪くどうにも使えなかった。オフィスで小切手にサインする機会が多かったこと、来る合弁会社設立関連の書類へのサインなどもあったことから、そこそこのモノを買い求めたつもりだ。万年筆そのものがいくらだったか忘れてしまった。
32HK$(1995年)

だがその当時一緒に買った、WATERMANのインク(ボトルだよ)には、32HK$とある。当時の為替が12.1589円(※)なので約390円だ。いまアマゾンや楽天を見ると送料込みで1700円前後。あまり比べる意味はないがこの写真のインクは香港で買ったものを、持ち帰り会社の机の引き出しに入れておいたものだ。20年以上眠っていたことになる。
※…世界経済のネタ帳                  https://ecodb.net/exchange/hkd_jpy.html

香港オフィスでしばらくボトルに入ったインクを使っていたがコンバーター(?)で吸い上げるのが面倒で、カートリッジを買うようになった。以来ボトルは使わなかったが今回日の目を見たというわけだ。カートリッジは5本入りで500600円程度。わずかではあるがプラごみも出る。今のカートリッジを使い終えたらインクで書こう。

この万年筆、伊東屋でペン先を直してもらった。かすれがひどかったためだ。いくらか忘れたが思ったより安く仕上がり、今は「三年日記」を記すのに重宝している。
カートリッジ一本分でどのくらいの文字が書けるのだろう。考えると「地下鉄漫才」と同じくらい夜も眠れなくなってしまうのでやめておくが、訳語の万年が示す通り鉛筆より長いと感じられたのだろう。Fountain Penにも同じような語感があるのだろうか。書いても書いても湧き出て途切れることのないインク。だから万年。亀みたいだ。

中学校の同級生が、「万年筆は人に貸すものではない」と言っていた。筆圧が個人で異なるからだそうだ。そんなことを言うM野君がずいぶん大人に見えた。かなり奥深いモノであることは間違いなさそうだ。

2020年8月28日金曜日

大健闘、立石駐車場

赤のハリアーは椅子の硬さが心地よい。

小気味よい走り

在宅ストレスを発散すべく、今日(金曜)休みを取って三崎までドライブした。三崎と言えばマグロと大根とスイカだが真のお目当ては秋谷の「立石駐車場」だった。そこに行くためだったと言ってもいい。だがあろうことか、満車の札が。平日にもかかわらず入れなかった。

134号線は偉大なルートだ。高校生の時に原付バイクでヒマに任せて何往復したことだろう。家からまっすぐ小動をめざし、左に曲がればあとはずっと海沿いだ。MR50(原付バイク)以降も、シビックで、アコードで。腰越を、七里を、稲村を、材木座を、由比ガ浜を、葉山を、長者ケ崎を、そして立石を。その道は自分にとって鮮血の通う大動脈だった。
134号線…横須賀の三春町二丁目交差点を起点とし、三浦市・三浦郡・逗子市・鎌倉市・藤沢市・平塚市を経由して中郡大磯町の大磯駅入口交差点の終点までの総延長60.6Kmの一般国道。

のどかな三崎港

県営立石駐車場は海に向かった無料の駐車場だ。こぢんまりとして目立たない、入口の狭い、それでいて絶景のスペースだ。この駐車場を見つけたことは、関谷インター付近で100円で缶ビールが買える自販機を見つけた時の喜びよりもはるかに大きい。

日が暮れるまでぼっとしているには最高の場所だった。防波堤は高校生が寝転んで意味もなく過ごすためにある防波堤であり、赤以上に赤色な夕日を見るための防波堤であり、好きな子を思って悶々としたほてりを冷ます、いや、盛り立てる時を過ごすための防波堤だった。カップルで来ているヤツには石を投げたものだ。(ウソ)

いまHPを見るとなんと62台と書いてあるが拡張したに違いない。当時は20台くらいでいっぱいだったはずだ。知っている人は知っているが、完全な穴場だった。ガードレールや売店といった無粋な遮蔽物がなく、本当に海前なのだ。長者ケ崎は1800円、七里ガ浜は1時間620円。このほか、11000円超えはザラだ。そんななか、まだ無料でやっていたとは。
横須賀観光情報 ここはヨコスカ

このはす向かいほど近くには、1984年にできたマーロウがしぶとく生き残っている。しゃれたカフェなど、当時行けるはずもなく立石のための「通過点(店)」だった。そこにカップルで来ているヤツには石を投げたものだ。(これもウソ)

今日立ち寄った葉山マリーナ内にマーロウがあったが、なぜか入ってみようという気にはならなかった。大人になったか。

2020年8月26日水曜日

やる気ゼロメートル地帯


近所の地下鉄入口には、海抜-2.1メートルという表示がある。街中にいるとわからないがようは海にめり込んでいるのだ。背丈より潜り込んでいるとはずいぶんだ。だがそんなところに住んでいることとは関係なく、やる気がなく、地盤沈下しそうなのである。いや、既にしている。

はてどう脱出したものだろうか。

けっこうな沈みっぷり

自分をだまして心地よく」もできる時とできない時がある。何に対してもやる気がないと言いつつ、読む人のない、これは書いている。当てはなくとも吐き出す(書き出す)ことで少しは「ゼロメートル」からプラスに転じることができるか。

プラスというが、プラスでないとダメなのか。マイナスのままでは生きていけないのか。在宅勤務はサボって横になることができるからそんなくだらないことも考える。「ゼロサム」世界なのだからマイナスの人間もいないと、成り立たない。全員プラスだと気持ちが悪い。そう思うと存在価値はありそうだ。よし、存在しても良いことは納得できた。

ではこのマイナス「気分」をどう消化すれば良いだろう。お腹が痛いと思うと本当に痛くなってしまうように、ずっと考えているからやる気がなくなるのか。そうか、やる気がないのだから、消化する必要もないのか。消化不良のままで良いということか。

一生懸命にプラスになろうとしたら、やる気満々じゃないか。その気がないと自覚しているのだから、そのまましばらく放置しておくのがよさそうだ。

いつものように、時間だけが解決への道筋をほんの少し照らしてくれる。




2020年8月23日日曜日

防災備蓄用ラジオ

地元自治体から、防災備蓄用ラジオなるものが全世帯にひとつ、配布され始めた。防災グッズによくある、手回し充電機能付きだ。ラジオ、サイレン、ライトがついている。加えてUSBポートがあり携帯充電も可能という優れモノだ。
ワイドFMは混信が多いね

以前この手のラジオを買ったことがあるがいくら回せどラジオやライトはすぐにフェードアウト。結局電池を使う羽目になった。今初めてUSBポートにアイフォンをつないで充電しようとしたが、聞いていたラジオは瞬時に聞こえなくなり充電も行われない。3分手回ししたところで充電まで望むことは酷というものか。

区のHPによれば全27万世帯に配布する事業費は15億円。単純な割り算をすれば単価は5555円。もちろんラジオ本体代金以外に輸入、通関、宅配などあらゆる費用が盛り込まれている。
令和二年予算案 防災備蓄用ラジオ全戸配布

小学校四年生の頃、父がなぜかラジオを買ってくれた。もちろんダイヤルをぐりぐり回してチューニングするもので、放送以外はザーという「砂嵐音」だ。当時神奈川県で聞いていた時、聞こえていたのはNHK第一、第二、FEN(現AFN)、TBS、文化放送、ニッポン放送、ラジオ関東(現ラジオ日本)だった。表示のある周波数の端から端までゆっくり回していくと、特に深夜には静岡放送や、北京放送、韓国語なども聞こえた。あちこちの放送が聞こえるというだけでなんだかワクワクした。

そんなラジオは地味に残り続けている。車には必ずラジオがついているし、インターネットでラジオが聞こえるラジコは2010年にサービス開始、2015年にはAMラジオ局がワイドFM放送を開始。ただこれはAM波廃止も視野に入れているので少し様相は異なるが。
文化放送

ラジオを配るという事業には賛否あるだろうが、有効だと思う。それを必要とするほどの災害に見舞われれば電気もガスも水道もおそらく不通の状態となっているはずだ。スマホなど何の役にも立たないし、ラジコは設定にもよるがバッファは最短でも15秒、時報も鳴らない。情報はタイムラグなくキャッチしたいものだ。

黄色の小型ラジオはそれなりにキュートではあるが、これを本来目的で使う日が来ないことを望む。

2020年8月15日土曜日

二度の結婚記念日


結婚を二度したわけではない。

「北京市人民政府婚姻登記処」へ届け出て受理された日と、日本へ戻って書類を出して受理された日がそれぞれあるのだ。

乾燥して紙がそっくり返っている

婚姻届けの煩雑さには閉口したが、最も気に障ったのは「お役所仕事」のその態度だった。全世界的な傾向なのだろうか。国際結婚だったこともあるのだろう。やっと準備を整え、登記処へ出向き書類を提出、かなり待たされた末に「来週来てくれ」という。すぐに日本に帰らないといけないので早く受理してくれと頼み込んだ。

「無理です」
一週間待てという。取り付く島もない、けんもほろろの対応だった。だがこちらもおいそれと引き下がるわけにはいかない。結婚は人生の一大事ではあるが、若い会社員にとって「もう一週間休み下さい」と気軽にリクエストはできない。そもそも、もう一往復したら飛行機代もバカにならない。「結婚証」の発行まで通常の手続きと所要日数は知らないが、来週のいつとも言わないし、第一こちらは一週間の盆休み中でとんぼ返りしなければならない。待つことはできなかった。

そこで、張さんの登場である。
会社の北京駐在員事務所で運転手と内勤をしてくれていた彼は、結婚登記所にも同行してくれていたので事の次第を把握している。一緒に窓口で長い時間掛け合ってくれたが、その結果が「待て」だった。

咱们好好研究吧
いくら思案したところで国際結婚の登記所に知り合いやつてがあるはずもなく、さすがに困り果てた。
好好研究研究,好好・・・,好好・・・,烟酒,烟酒
張さんがたばこと酒を買いに行こうという。古い手だが本当に効果はあるのか。だが、誰に渡す?渡す相手が見つからない。結局その日はいったんホテルに戻り、出直すこととした。

翌日、再び張さんと一緒に登記所に出かけた。道すがら、「たばこと酒を渡す相手が見つかった」と自分のことのように頷きながら言う。
「あの結婚登記所の隣のビルに知り合いが勤めている」

これを、つてと呼ぶのだろうか。
だが張さんは真剣だった。いまやその「隣のビルの知人」を介してアプローチする他はない。張さんと知人が再び長いこと掛け合ってくれた。

果たして、「結婚証」は翌日発行となり、当初予定の盆休暇内で収まった。張さん恐るべし。いったいどんなやり取りをしてくれたのだろう。28年前はまだたばこと酒の効力があったというハナシである。
張さんとその隣の知人には感謝の念しかない。

2020年8月14日金曜日

音の鳴らないギター


梅雨明けからの酷暑続きでアタマの芯がぼっとする。まるで2011年に経験した熱中症のようだ。

7月は31日間のうち、30日雨降りで梅雨らしかったといえばそれまでだが、その憂さを晴らすがごとく、81日から連日の尋常ならざる高温と湿度となっている。この暑さに「テレワーク」という在宅疲れも加わり既にバテバテだ。
 
YAMAHA SLG200S TBL
本来ならば会社員とて短い夏休み、ちょいと温泉やらせめて日帰り旅行でもして気分転換したいところだが、今年はそうもいかない。今後、少なくとも今までのペースでオフィスへは行かないこと、すなわち家で過ごす時間が増えるとなると、いったん売り払ってしまったギターがまた欲しくなった。
6年前の引っ越しの際、「弾かないなら捨てたら」というデリカシーのない妻の忠告に結局は従ったのだった。

エレキギターを大音量でというわけにはいかない。仮にスタジオやカラオケボックスでそれが可能だとしても、足繁く通う自分は想像できない。ガットギターは直近弾いていた。アコースティックもよいが、気分良く弾こうとすればそれなりの音量はする。そこで目をつけたのがサイレントギターだ。

ところが、探し始めると同じ事を考える人ばかりで店頭はもちろん、ネットでもかなりの品薄状態だった。秋葉原の楽器店にも在庫は無く「お盆までには何とか」という店員。アマゾン、楽天にも表示はあるものの、「取り寄せ」表示で「入荷時期未定」。無いと言われると、俄然欲しくなる。それからは「テレワークを活用」してネットで探しまくり、最終的に大阪の楽器店から送ってもらった。

スチール弦、ナイロン弦の二仕様のうち、前者を買ってエレキ弦に張り替えた。イヤホンでも楽しめる。これはいい。

YouTubeには初心者向けの親切な動画もあり、我流ですぐに飽きてしまったことが後悔される。こんどこそ少しは「趣味」と言える程度に弾けるようになるだろうか。



2020年8月10日月曜日

【続報】プレミアム付商品券


84日に「プレミアム付商品券は本当に得か」を記したのち、気に留めていたからか、やたらこのニュースが目についた。そして驚いた。自分が購入した20%プレミアムでも結構得だと思っていたら、あるわあるわ、30%はすぐに見つかり、なんと50%増しもあった。おいおい、普通の買い物しなくなるぞ。

 
大行列の商品券

8/7北海道放送
2000円分お得の商品券売り切れ続出!売っていても大行列! 北海道札幌市
8/7 神奈川新聞
プレミアム率30%、商品券発行へ 伊勢原市
8/9 静岡新聞
磐田市のプレミアム商品券 住民ら続々購入「地元の店を支援」
8/5 週刊ひがしおおさか
ウルトラでプレミアムな商品券!総額80億円の経済対策に、東大阪人よ集え
8/3 日本経済新聞
東京都三鷹市、スマホ決済できるプレミアム商品券

20%で喜んでいたのが少しがっかりだ。だがこれしかないのだから仕方ない。
気を取り直して買い足すことにしたが、当然売り切れているだろうと思ってHPをみたところ、75日から先着予約募集開始していたのに、84日時点で7万冊に対して7割弱の応募だという。人気が無いのか、手続が「専用往復はがき」という古来の面倒な方法のために敬遠されているのか。もし、札幌のように市内で現物を売り出せば行列は必至だろう。

5冊発注した。20211月末の有効期限だが、今の利用頻度から考えて十分使い切ることができる。精肉店へGO






2020年8月6日木曜日

SUMMER BREEZE -CITY POP-なんて呼んでたっけ?


SUMMER BREEZE
-CITY POP- ULTIMATE JAPANESE GROOVE

在宅勤務が続くなか、オフィス出社の機会があった。すぐそばにタワーレコードがある。もはやCDショップなど成り立つのかと心配になるのだが、どっこいなかなか潰れはしない。
シティポップ

その前を通り過ぎてまた戻った。どこへ行けばこんな風景に出会えるのかと思わせる「架空の夏風景」ポスターには、SUMMER BREEZEとこれまた80年代に使い古されたようなタイトルが。よく見るとタワレコの企画盤だった。ざっと見ると70年代後半から2000年代始めまで二枚組で31曲。ポスターの下のCDプレイヤーでかけっぱなしという手を抜いた販促にまんまと引っかかった。角松(敏生)サウンドが耳についたからだった。

SUMMER BREEZEキャンペーン』TOWER RECORD

角松=夏ではないが、杏里が歌ったWINDY SUMMERなど、いかにもな音。ごきぶりホイホイにかかる如く、店内入り買い求めた。売場には二枚以上購入で10%ディスカウントと書かれていて何のことはない、他の一枚もやはりタワレコ企画盤で「その頃のサウンド」洋楽版だった。そちらのタイトルは、
SUMMER BREEZE -AOR- ULTIMATE URBAN FAVORITES
買ってもよかったが、持っているCDが多かったため、割引の誘惑に負けることなく退散。

アーティスト
Char、杏里、松原みき、吉田美奈子、松岡直也、真心ブラザーズ、EPO、米光美保、藤井隆、西城秀樹、大瀧詠一、郷ひろみ、RA MU、稲垣潤一、YMO、佐藤博、冨田ラボ、松下誠、砂原良徳、Pizzicato Five、神田正輝、Sergio Mendesbird、村上"ポンタ"秀一

これだけいれば知らない曲もあるし、好みでない曲も出てくるが、それはULTIMATE JAPANESE GROOVEの名のもとにとりあえず許すことにする。程度は知らないが80年代あたりのジャパニーズシティポップが日本の若い人や海外からも評価されていると聞く。

今なぜ海外で「シティ・ポップ」が大人気なのか? 火付け役に聞く 201974

今聞いていて思うのは、知っている曲は懐かしく感じるが、決して古い感じはしない。色褪せないというのともまた少し違って、時代におもねっていないとでもいうのだろうか。

だから、聞き飽きることがない。


2020年8月4日火曜日

プレミアム付共通商品券は本当に得か


月に二回配布される区報でたまたま「プレミアム付区内共通商品券」の発行を知り、煩雑だったが申し込んだ。在宅勤務という隙間自由時間を確保しやすい環境でなければ決して手続しなかったと思う一方、20%という「プレミアム」はあまりにお得感満載で、普段の生活をしていたらこれを逃していると思うと悔しい。

24枚つづり

その凄さたるや、
みずほスーパー定期1年の利率が0.01%なので2000
ゆうちょ定額貯金10年満期なら利率0.002%なので10000
というわけだ。
1万円を1年預けても100円増えないが、商品券は1万円が12000円になる。
(意味のない比較とは思いつつ・・・)

専用応募はがきで申し込み(今どき往復はがきを使うとは!)、送付された購入引換券を持って指定した郵便局で購入するというものだ。何年か前に買ってみようと思ったがタイミングが合わず、しかも当時は本当の先着順だったため長蛇の列だったと聞く。

毎月定額を貯蓄して10%プレミアム付のデパート商品券がもらえたり、旅行会社で同様に積み立てた金額以上の旅行券になったりする企画は以前からあった。こうした区の(官製の)施策はいつから始まったのだろう。

2014年度補正予算に盛り込まれた地方の消費喚起等を目的とする交付金活用事業が本格的に動き始め、全国地方自治体の約97%がプレミアム付商品券を発行」とある。

プレミアム商品券の経済効果 みずほ総合研究所 2015624

また、「プレミアム商品券」「2014」などで検索すると、商店街や自治体でも以前から行っているようだ。以下の二例はいずれも1万円に1000円が付く10%だ。そう考えるとやはり20%は「さらに倍」となり、家計にはありがたい。

戸越銀座では2014
茨城県筑西市・しもだてプレミアム商品券は2012

だがこれは消費喚起策なのだろうか。1回1000円、10回だった買い物が12回になるというだけで、「お得感があるから、たくさん買おう」とはならない。余らせて期限切れにでもなったらお得どころかただの紙切れだ。
用心用心。

2020年8月1日土曜日

【書籍】ぼくがぼくであること 山中恒


夏休みといえばこの本だ。

長い梅雨が明け、慌てて晴れだした暑い81日につい読みたくなって本棚に手を伸ばした。

夏のお手軽本

小学六年生の平田秀一が夏休みに家出し、農村でのちょっとした冒険を通じて親や家族の在り方を考えるというものだ。NHKのドラマで印象に残っている。調べると1973年の放映なので自分が四年生の時に見たことになる。「夏代ちゃん」がとても魅力的だったのを覚えている。

書籍は後から思い出して買ったのだろう。本に挟まったレシートは文字が消えかかっているが、福家書店銀座店199962日(水)1247分とある。昼休みにでも行ったのだろう。

自分に家出経験はないし、秀一のお母さんのような「教育ママ」がいたわけでもない。ストーリーのドタバタを純粋にテレビで楽しんでいたのだが、本は本でおもしろい。自分の中で空想の「夏休み家出疑似体験」もできる。「田舎」を持たない自分にはそんな夏休みの情景が羨ましくもあった。

作者の山中恒サンは、終戦当時14歳で北海道庁立小樽中学の二年生、農家へ泊り込みの勤労奉仕に行っていた。彼は戦争中、軍国主義教育を強いた教師たちが、敗戦によって自決するのではないかと、ひそかに様子をうかがったが、教師たちはいささかも腹を切る気配は見せず、むしろ安易な居直りを見せる者が多かったことから、おとな一般に敵意を抱くようになったという。(尾崎秀樹、解説より)

作品の元は1967年(昭和42年)というから学生運動の盛り上がりもあった時期で、権力や親に対する反感、「押しつけ」への抵抗も半ば身近な体験だったのかもしれない。それを児童文学の中で、家庭教育の在り方みたいなものを記している。

ドラマを見ていた当時はもちろん、今日もそんなことは考えずに、ただ「夏休みの憧憬」を求めて読み返したに過ぎない。

窓の外では、木の幹をきっと駆け足で登って羽化したに違いないセミが騒いでいる。

1丁目のバーガーキング

前回ハンバーガーを食べたのは、 2019 年 2 月、サンディエゴの Burger Lounge だ。滅多に食べないこと、そして滅多に行かないアメリカで食べたのでよく覚えている。彼の地に住む中学時代の同級生が連れていってくれた。アメリカーンな美味しいものだった。 最寄り駅にバーガ...