2020年12月26日土曜日

駕籠に乗る人担ぐ人 そのまた草鞋を作る人

これを聞いたのは、高校の同級生の親からだった。

入学式の日に父が他界し、灰色で始まった高校生活だった。父は厳しかったわけではないが何となく家庭内の重石がなくなり、母も張り合いを無くすなか、俺としてはぐれる要素はいくらでもあった。遅く帰っても叱られることはなかったし、場所柄、暴走族も多かった。だが、いわゆる「不良」にはならなかった。なれなかったのかも。

 

それでも原付免許はすぐに取った。中古バイクに乗って134号線をあてもなく何往復もした。高校では学校にプールもないのに水泳部で運動していた。その女子部員の家が何となくたまり場になっていった。お父さんはあまり記憶にないが、お母さんが肝っ玉系でいろんな話をしてくれた。どういう流れだったのかは覚えていない。だが「駕籠に乗る人担ぐ人 そのまた草鞋を作る人」という言葉に出会った。

作れないですけど


こういう話の時、駕籠に乗る人の立場の話になることは100%無い。担ぐか草鞋を作るのどちらかの話で、世の中いろいろな職業で成り立っている、その立場を受け入れるのは悪いことじゃない、というのがこの話を納得する(させる)肝だ。

 

高校生当時、将来どんな仕事に就きたいかというようなハナシだったのかもしれない。自分はアホだから、金がないから、コネもないしといった未来の展望のないハナシの時に諭してくれたのかもしれない。

 

「職業に貴賎なし」というのは誰の言葉か知らないが、思い切り貴賎があるからこそ、差別を戒める言葉が存在するのだ。「自由の国」アメリカの意味するところは広いが、残念ながら差別する自由があることも2020年の現在でも思い知らされる。

 

さて、駕籠に乗る立場にはなれず、担ぐ若い体力がもはやなく、草鞋を作る技術を持たない俺ははて、どんな仕事をしていこうか。

2020年12月24日木曜日

大江戸線に罪はない

平成121212日、12号線と呼ばれていた大江戸線が全線開通した。その20周年を祝うポスターが都営線のあちこちの駅に貼られている。20周年記念はめでたい出来事だ。だがこの路線は地下深く掘られたため、軌道は他と同じでも車両が小さい。天井が低く圧迫感があり、車輪と線路の軋む音がひときわ大きく耳障りだ。

周年記念と思えない地味な色


そんな、大きな節目を迎えた大江戸線には何の罪もないが、俺は嫌いだ。

通勤に使っていて、最も鬱が激しい頃だったからだ。線路が本当に間近に見え、白線をふとまたげば、全線開通後の最初の不幸になっていたかもしれない。苦しかった。本当に苦しかった。だが不思議なことになぜそんなにまで思いつめたのかが、わからない。病ゆえ、考えが及ばなかったのだろう。

レシート証拠つき


当時昼間に会社を抜け出し本屋へ行った。もちろんそんなことは覚えていないのだが、事実本を購入している。色褪せたレシートには時間まで入っている。平成12年(2000年)127日(木)の午後35分。重たい気持ちだったのだろう。でもそこで「幸いにも」五木寛之サンの「大河の一滴」に出会ったのだった。ベストセラーだったから平積みになっていたのか、どのように手に取ったのかはまるで記憶にない。(線路が間近に見えた時に出会った本

幻冬舎文庫の初版が平成11325日、翌年320日に10版とあるのできっと嫌でも目に入ったのだろう。

 

ところで開通の周年を告知するポスターにしては何とも地味だ。大江戸線カラーである赤、えんじ、茶色、レンガ色のような、いずれにしてもクリアではないその色使いも当時のどん底と共鳴していて萎える。

 

大江戸線にはよく乗る。関係者には申し訳ないが、やはりいまだに好きになれない。

2020年12月19日土曜日

厳冬の屋外診療

えらい目にあった。

今週水曜夜中に近年最大の腹痛と脂汗を伴う下痢でその日は終日続いた。気が付けば便が赤い。近所のかかりつけ医は木曜休診。そこでやむなく受診歴がある別の病院へ行ってみた。

 

午前850分。待合室にまだ人は多くない。のぞき込めばすぐに体温がわかる機器に間抜け面をさらし、平熱を確認。

「今日はどのような症状ですか?」と問われたので

「赤い下痢です。熱はありません」

甘かった。熱が無ければ下痢など薬をもらって終わると思っていた。コロナの疑い満々。

「消化器系の先生が午後からなので、予約を取って後で来てください。こういう時期なので、着いたら中に入らずに外から電話をしてください」


幸い昼の12時に予約ができた。5分前に到着し、電話をかけた。するとスタッフ入口(病院の裏側)の外に置いてあるパイプ椅子で待たされることとなった。15分後、完全武装の若い男性医師がやってきた。なんとそのまま「屋外診療」だった。日は差しているが木曜はとりわけ寒い日だった。スマホで撮った赤い便を見せると「赤いね」と言って、少しお待ち下さい、と院内に戻ってしまった。

パイプ椅子、寒い

 

さらに10分後、こんどは院長と名札に書いてある消化器系の医師が出てきた。

平熱、咳や息苦しさ無し、味覚あり、会食無しを確認し、やっと病院内に入ることができた。

「赤いですね。色だけ見て内蔵からの出血なのかどうかはわかりません。例えば下痢で長時間座っていて切れ痔などで出血する場合もあります」

切れ痔ではないが、多少の「地主」ではある。結果、整腸剤と痔の薬をもらうことに。後日大腸がん検診もやってみることにした。

 

確かにこの時期なので疑いは仕方がないし、医療従事者が罹患してしまっては、助かる命が本当に助からなくなる恐れがある。それを思えばがまんか。

 

えらい目にあったといえば、北京語言学院の留学生楼で過ごしていた当時、カビの生えたパンを知らずに食べて日中友好病院のお世話になった。その時の激しい腹痛も相当厳しかった。それに留学生楼のトイレは「和式」。あまりに頻繁に行くので足腰まで痛くなった。水には十分注意していたのだが、あまりの乾燥した気候に、加湿器をがんがんつけて、そこに3,4日フランスパンをつるして置いたらカビが生えたというわけだった。

北京の中日友好病院


中日友好病院は1978年の大平正芳総理(当時)の訪問時の合意に基づき、日本からの無償資金協力により1984年に建設されたという。

https://www.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000535.html


豪雪地帯の方から見れば、寒いとはいえ晴天のパイプ椅子にモンクをいっているとお叱りを受けそうではある。

 

2020年12月14日月曜日

Love is blind.

六年前に中古マンションを買った。小さいが南向きでよく日が入り気に入っている。一軒家に比べて気密性が高く、上下階があるので冬でも暖房を使わない日もある。中古ゆえ、間取りをどうこうする選択肢はなかったが、申し訳程度の変形六畳間がある。そこの障子紙を張り替えたら紙が足りず無残な窓になった。(やらかしちまった

 

その変形六畳間に布団を敷いて寝ているのだが、あんなに薄い障子紙でも一枚無いと寒いということがよく分かった。当然紙を張ろうとホームセンターへ出向こうとしたら、妻からブラインドにしてはどうかという提案があった。しかも和室のみならず、リビングもこの際、という大胆な提案だった。

ブラインドといえばこのイメージ


せっかくだが提案を一蹴しようとした。ハッキリ言っていい印象はないからだ。ペラペラ金属のブラインドだ。よく会社事務所などで見かけるのは、風が吹けばビラビラと音を立て、埃がたまった、端が折れ曲がった、紐が絡んだ、誰も操作しないブラインドだ。

だがカーテンを見ると何とも分厚くやぼったい。そして驚いたことに厚手の方は裾が少しかびていた。冬は結露が激しく、知らぬ間に水分をたっぷり吸っていたのだろう。普段は結んであるとはいえ、窓の両サイドに陣取っている布の塊は視界を多少だが重たく遮る。

 

いちおう、木目調

ホームセンターへ出向いたが、障子紙ではなくカーテン、ブラインド売場でパンフレットを見た。和室の小さな窓なら自分でも取り付けられそうだったが、リビングの窓は天高も幅もある。素人では結局匙を投げそうだったため、採寸と取り付けを依頼。注文から二週間弱で出来上がり、取り付けはものの一時間だった。

 

明るい。窓が広く感じる。動きも想像より軽快だ。

障子紙なら大きさによるが安いもので数百円、まあ数千円だ。そういう意味では出費はかなりの痛手だったが、部屋の見た目も気分も変わり、少し明るい気持ちになった。

 

埃はたまらないか

端は折れないか

絡んだ紐を放置しないか

 

Love is blind」はジャニスイアンの名曲だね。

https://www.youtube.com/watch?v=naGt-FFL7Ww

 

2020年12月7日月曜日

在宅勤務は北欧流が快適なのか

何でも欧米が優れているという幻想に陥りたくはないものだ。

「オンラインで同僚とのコーヒーを楽しみ、同僚の気配を感じる適度な雑音の中で作業に集中」

日本経済新聞127日付夕刊にはそんな書き出しで、在宅勤務率が高くても一人当たりのGDPが高水準で維持している北欧の様子が紹介されている。スウェーデンの広告代理店は電話やプリンター、キーボードを打つ音など「同僚の音」を配信しているとのこと。「生産性も高い。世界銀行がまとめた2019年の一人当たりGDPでデンマークは日本の1.5倍」とも。

https://www.youtube.com/watch?v=I1gF6HQ1FlA

Office Sound 4 Hours』会社の音240分【作業用環境音】STAY HOME

こういう音が配信されている


こういう記事を見るたびに、日本がいかに効率が悪いのかを思い知らされるのだが、本当にそうなのだろうか。いますぐにこれに反論する資料を持ち合わせていない。デンマークの人口581万人、日本は12600万人という2けた違いの分母だけの問題なのか。年間総労働時間も韓国と日本はワーストを競ってきた。2000時間を超える労働をしているのは世界でもこの2か国だけだった。

 

一方、例えば経営者は昼夜を問わず働いている。24時間とは言わないが大手、中小に関わらず経営者とは時間の概念ではなく企業存続、いかに稼ぎ出し存在し続けるかに心血を注いでいるはずだ。もちろん私利私欲に走る者もいるだろう。それはそれでブランドを守る必要もなければ、社会の公器といった考えもいらない。ただ短命に終わるだけだ。一代ならそれもよかろう。

 

さてさて、2020年はとにかく何でもいきなりだった。自分の「三年日記」にコロナが登場したのは126日でそれまでは海外からの出張者も通常だった。在宅勤務の制度はあったが半ば強制的に始まったのだった。何事も意識改革にはトップダウンが必要だというが、今回はコロナがもたらした「神風」だ。

 

モンダイは、企業が売上も利益もしっかり出せるかどうか、ということに尽きる。それらが出ていればハッキリ言ってオフィスに居るかいないか、定時で帰るか残業するか、週三で休もうが何だろうが、副業でどれだけ稼ごうが何ら関係ないのだ。

 

まあそれでも、比較的伝統的な企業に、新卒で就職して三十余年。アタマで分かっていても転職や副業はなかなかどころか、たじろいでいるのが本当のところだ。

2020年12月6日日曜日

居酒屋メニューの難読漢字

先日立ち寄った居酒屋の飲み物メニューで、「麦酒」(ビール)とあった。

客層がそういう表記を望んでいるような店でもないと感じた。産地が全国にわたる日本酒の銘柄で読めない名称があるのは仕方がない。

 

フランス料理(だけではないかもしれないが)によくある「~の~風~、~を添えて」はどうも馴染まないが、食文化とはそういうものかもしれない。

翻って大衆酒場の肴はわかりやすい。どこでもあるようなメニューがあると安心するが、やはりその店のイチオシを知りたいと思う。

 

会社帰りに月二回くらい立ち寄る店の肴はそれほど目新しいものがあるわけではない。だがある時「自家製」メニューがあるのに気付いた。そこでさっそく、お世辞にも愛想がいいとは言えない店員に聞いてみると、春巻きもシュウマイも休み(日曜)に作って月曜に備えるのだという。そう聞けば発注せざるを得ない。イマドキの冷凍食品はうまいが、そんな事前仕込みのハナシを聞けば冷凍に勝ち目はない。月曜中、残っていても火曜には「自家製」は完売する。

全部は読めない


居酒屋では、季節の魚があればそれも必須だ。

魚の名前も鮪、鰯、鯛、鮭、鯵、鮎、鯖、秋刀魚、鯨、鮑くらいは馴染みがある(発注しないものもある)が、鰆(さわら)、鰤(ぶり)鰊(にしん)あたりはどうだろう。もっとも、店もオーダーしてもらえないと困るので平仮名や片仮名表記が多い。

 

で、先週末門前仲町にある煮込みの名店「大坂屋」で一杯やっていると、職場の先輩後輩と思しき男女が入ってきた。

「いやー、(店に)入れたね」(注:人気店かつ席数が極めて少ない)と言いながら荷物を置いた。

「飲み物はどうされます?」

「えーっと、ダイビンで」

 

ん?

それはもちろん、大瓶のことだった。その若者を責める気はない。せめて「大」(ダイ)で寸止めしておけば怪我しないで済んだというわけだ。何事もなかったかのように男性が職場でのアドバイス的な話題を始めたため、女性が読み方を知っていたかどうかはわからない。

かくいう自分も、佐賀の日本酒「天吹」(あまぶき)を、「てんぶきお願いします~」と大声で発注したのだった。

2020年11月29日日曜日

マイナポイントいばらの道

 「JREに登録したSuicaでマイナポイントにチャージするだけ6000ポイントもらえる」という登録作業に45分かかった。ナイナンバーカードは取得したうえでの作業だ。

怒りがこみあげる登録作業


まず「JRE POINT WEBサイトにSuicaを登録する」ところでスムーズに行って15ステップを踏む。ここでかなりの人は脱落すると思う。

https://www.jrepoint.jp/information/suica_mynapoint/

マイナポイントはSuicaで貯めよう

 

次にマイキーIDを発行、設定を行う。その際アプリのダウンロード、暗唱番号入力、カード読み取り(これがなかなか読み込まない)を行う必要がある。その第二の難所を超えると今度はJRE POINT WEBサイトにログインして、「JRE POINT交換番号」を確認、入力する。そして再びマイナポイントアプリでマイナンバーカードを読み取る。ここだけでも10ステップ。

 

あきれて途中で数えるのをやめたが、30ステップではきかない。JRE POINT WEBサイトとマイナポイントアプリを行ったり来たり。それほど「デジタル音痴」とも思っていないが、パソコン、スマホをたたき割りたくなる。

 

さらに火に油を注ぐのは、この説明サイトだ。

https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/flow/mykey-get/stumble_pt/

ここに注意!マイナポイント取得までのつまずきポイント

 

すごくないか? つまずくように設計されているのだ。ポイント取得まではいばらの道だ。

つまずきポイント1の「スマホでマイナンバーカードが読み取れない!」から何と6つのつまずきが記されている。そして最後には「決済サービス詳細ページの「お問い合わせ」エリアに各問い合わせ先が記載されているので確認してみましょう」

そう、試されているのは忍耐力だ。

 

税金で作るシステムというのはこんなものだ。設計者出てこい!

2020年11月23日月曜日

やらかしちまった♪

♪やらかしちまった やらかしちまった どうしてこんなことになったのか

♪やらかしちまった やらかしちまった 自分で自分がゆるせねぇ

https://www.youtube.com/watch?v=AO7ZqH23lYA

【お笑い】 爆笑ソング ~やらかしちまった~

 

そう、この歌は、エンタの神様でトリを取る「どぶろっく」のお笑いソングの一つ。番組では彼らが真剣に歌い始めるとすぐにエンディングのテロップが流れる。ちょっと不憫な感じもしたが、何と言っても「オオトリ」だ。初めて彼らの歌を聞いていた時はエロソングに時折「そうだね」と同調しつつ、深い感慨は得なかったが、たぶん歌唱力は相当あると思う。

かなり、足りてない

勤労感謝の日を最後とした三連休に、「やらかしちまった」のだった。

年末大掃除には少し早いが破れて気になっていた障子を張り替えようと、重い腰を上げた。子供の頃、障子を破ればもちろん叱られた。「ごめんなさい」と言いつつ、子供が遊んでいるのだから紙は破けるものだ、と当時思っていた。

 

YouTubeで方法を事前学習。障子紙は前回の残りがあるし、両面テープも買い込み準備オッケー。朝七時からはがしにかかった。多少残ったこびりつきを濡れ雑巾で丁寧に処理し、その後しばらく乾燥させる。その間にジョギング、夕食の牛筋とカレー用黒豚の買い出し、SNSコメント対応(仕事)、図書館で予約しておいた本をピックアップ、昼食準備となかなかの充実ぶり。

 

そしていよいよ「張り」(張り、貼りモンダイは後日)に入る。家人の手を借り比較的スムーズに一枚完了。思ったよりもいい出来上がりだ。よしよし、二枚目。両面テープを張り終え障子紙を当てると、何と明らかに足りない!

サランラップのツヤツヤした面が永遠に続くようでいながら最後が突然クシャっとして、「らしからぬ」状態を見せるが如く、障子紙の最後も実に情けない終わり方をした。余った紙を縦にしても横にしてもどうしても足りない。

 

大きな窓ではないにしろ、見ようと思えば隣のマンションからは丸見えだ。いや、隣から見れば、こちらは間抜けな「のぞき窓」になっていて、間違いなくあちらがカーテンを閉ざすことだろう。

 

2020年11月22日日曜日

心配無用の「切り身御殿」

ジョギングの際よく通る小さな商店街に、小さな魚屋があった。オレンジ色のテントが目立つ店だったが、マグロと他一品の刺身が数皿並び、焼き魚も一種類程度。土曜の夕方に何度かマグロを買ったことがある。良い切り身で値段も手ごろ、週末のつまみに重宝していた。だが失礼ながら繁盛店には見えなかった。




店主も奥さんも、「築地で良い魚を仕入れていたところが豊洲移転を機にもうやめるっていうから、うちもそろそろ畳もうかと」なんて言っていた。だが実際には移転後もしばらく続いていた。数軒向こうの精肉店も店を閉めていた。売り上げも限られるだろうし、そもそも近所に大きなスーパーもある。小さな商店街などひとたまりもない。

 

ある日、ジョギングコースを変えたこともあったがその店の前を通った時に気が付いた。店ごと無くなり更地になっていたのだ。薄情なもので「ここは何があったんだっけ?」としばらく思い出せなかった。(それは自分の確実な記憶力低下でもある)

 

あー、あのご夫婦はどうしているのだろう。ついに店も畳んだか。

 

ところがつい先日、立派な住宅が建っていた。意外と奥行きがあったのか、駐車スペースは二台分、そしてそこには大型車が二台停まっていた。細々と(そう見えた)やっていた鮮魚店でずっと貯金していたのか、或いは魚屋は世を忍ぶ仮の姿だったのか。いずれにしても店舗の見栄えだけで判断していたのは愚かなことだった。心配無用。

 

それ以来、その道を通る時は「切り身御殿」と勝手につぶやきながら歩いている。

2020年11月16日月曜日

宇宙旅行をやってのけるアメリカ

プロレスショーのような大統領選を展開しているアメリカだが、日本時間20201116日午前927分、スペースX社のクルー・ドラゴンは打ち上げ成功、商用利用へ大きく近づくこととなった。トムクルーズが宇宙で映画を撮る日も近いかもしれない。

 

友人がNASAとスペースX社広報張りに、十二分な情報提供をしてくれたおかげで、今朝はそのLIVE中継にすっかり見入ってしまった。在宅勤務バンザイ。

 

中継を聞いていると、我々が飛行機に搭乗する時の、ボーディングブリッジは「Crew Access Arm」と呼んでいた。「発射まで50秒」はFifty seconds to lift off. 発射直後に「Great view of Dragon」。そして画面左下にはVelocity(速度)とAltitude(高度)が示されている。発射後511秒に速度時速10000キロメートル、また発射536秒で高度200キロメートル。

 

こんなことがライブ映像で見られるということに感激。

今日はまだずっと中継を見続けてしまいそうだ。





2020年11月7日土曜日

大統領選 はプロレスだ!

117日時点でまだ投票結果は出ていない。

アメリカと言えば民主主義の頂点のような国で、かつての盲目的なアメリカファンとしては「かっこよくあってほしい」と今でも思っている。

だがどうだ。

人種問題、銃規制、薬物に差別。小学校の道徳を持ち出すまでもなく「いけないこと」のオンパレードじゃないか。もちろん日本でも差別はあるしおかしなヤツは山ほどいる。人種ではないが同和問題もあれば外国人労働者への偏見もある。このあたりは人間という動物が持つ性癖なのだろう。

台本通りのプロレス


戦争で負かされた相手になぜ盲目的な憧憬を抱いていたのだろう。もちろん戦争リアル時代ではないというのはある。じいちゃんから戦争のハナシは聞いている。だが自分の記憶を辿れば、小学校の頃、ラジオでFEN(現AFN)を聞いて不思議な憧れを感じたし、好きな音楽は、邦楽から洋楽へ移っていったのも中学校の頃だった。高校ではラジオ英語講座でリスナー参加を果たし、大学生に至っては初めての一人旅でアメリカ横断した。(テレビでアメリカ横断ウルトラクイズをやっていたのも、気持ちを駆り立てる一つとなった)

 

大統領選挙に戻ろう。

まれに見る大接戦。コンマ1、2の僅差だ。集計で一歩間違えば極めて大きな禍根を残すことになる。だが、これまでのテレビ討論のみならず、誹謗中傷の数々。アメリカにとってそれが大統領選の醍醐味なのかもしれないが、賛成できなくても相手の意見に耳を傾けるという最低限のルールは守りたい。

 

ライバルメディアである読売新聞と朝日新聞。以前読売新聞の記者の講演を聞く機会があった。その時、朝日新聞の記事を珍しく褒めていた。記事を書く者として共感したのだろう。相手が嫌いでも受け入れ難くても、理解しようとする気持ちが大事だということをその人は言っていた。

 

ディベート教育を早期に行っているアメリカで、相手を打ち負かすことは、時に自己が生存するための基本行動なのかもしれない。だがしかし、今回の舌戦を通り越した極めて醜い応酬は、頂点国家のものとはまるで思えない。社会主義より民主主義の方が世界的にマイナーだという衝撃的な記事を読んだが、衰退は着実に始まっているのかもしれない。

 

まあ、相手を挑発しあい、筋書きが出来上がっているプロレスみたいなショーだと思えばそこまで深刻になることもない?

2020年11月3日火曜日

魚ジャンプに動じぬサギ

ジョギング中にはいろいろなものに出くわす。

近所の小名木川の両サイドはきれいに整備されていて、散歩、ジョギングにはもってこい。自転車は通行不可なのも安心だ。犬の糞を片付けないヤツには閉口するが、あとはいたって平和。常に釣り人がいて、ここはハゼ釣りの名所だと知った。

 

https://baysidecouncil.net/archives/5015

ハゼ釣り。江東区小名木川クローバー橋で試し釣り♪(´ε )

 

水がきれいな時にはハゼ以外にも何やら大きな魚も悠々と泳いでいるのが見える。しかも結構な確率でジャンプに出くわす。だがさすがにシャッターチャンスはそう簡単には訪れない。最近ヒマではあるが動画を撮って編集するほど凝ってはいない。(といいつつ、ジャンプはこちら


立ちしょんではない

東大島方面へ行くと旧中川にぶつかる。その先の橋を渡れば「千本桜」。春は最高だ。

先日この「川の駅」なる施設のそばを走っていると、いつもと違う賑わいを見かけた。ラジコンヨットレースだった。写真は後ろ姿だが、リモコンを必死に操作しているに違いない。この川の駅は、水陸両用車が川にドボンと入るところでもある。なぜか足湯があるのだが、ちょっと浸かる気はしない。売店も心なしかさびしい。

 

https://www.city.koto.lg.jp/470701/machizukuri/kasenkoen/shuun/river_station.html

旧中川・川の駅

https://rcyacht2019.web.fc2.com/schedule/schedule_menu.html

ラジコンヨットレース

なかなかの立ち姿


小名木川の反対側を今度は西へ向かう。しばらく行くと前述のクローバー橋にたどり着きそこから猿江恩賜公園方面へ北上する。公園内を二周して戻ったところで今度は「アオサギ」が手すりにとまっている。でかい。しかも驚かないところに、こっちが驚く。驚きついでに数枚撮影。別の公園で、種類の異なるサギを見かけたことがあり、都会のわりに自然豊かなのかもしれない。

 

次は何が飛び出してくるか、楽しみだ。

2020年11月1日日曜日

女性歯科医の罠@香港

何科であっても海外で病院に行くのは心細く、言葉の不安も募る。

25年前、4年弱駐在していた香港で歯が痛くなった。ちょいと風邪を引いた、お腹を壊したというのと異なり歯痛は放置できない。

幸い、駐在員規定の中で医療費をカバーしてくれる。必要最低限の治療をして、日本に戻ったときにきちんと治そうと思った。日本でもそうだが、歯医者は「相性」みたいなものがあって、痛い痛くない、治療期間が長い短いなど、医者によってずいぶんと左右されるものだ。


他社の駐在員に聞いて、オススメの歯医者へ行くことにした。

歯科医は女性でイギリス籍だという。若いわけではないがちょっとチャーミングな先生だった。虫歯を治すのにチャーミングかどうかは関係ないし、削られればやはり痛い。だが「そうでない」よりはいい。

こんな感じだったのだろうか


一回の治療時間は長くないが、その分回数が多いのが気になった。予約を取るのも、行くのも面倒だった。だがなぜか嫌でない。歯医者特有のニオイはするし、痛い時は痛いのに、だ。

 

近かったのだ。チャーミング先生が。こちらはバカみたいに口を開けて、苦痛に耐えているが、その間、先生の胸がこちらの肩口当たるのだった。いや、確実に当てに来ていたのだった。それからは気になって仕方がない。

まずい。このままでは虫歯でない歯も全部削られてしまう。

虫歯12本なら1回では終わらないが、34回がいいところだろう。受付も人が悪い。やっと気づいたかという顔で、「もう(治療は)いいです、って言わないとずっと続きますよ」。

ある意味悪徳歯科医と言える。企業の駐在員なら治療費が自腹でないこともお見通しなのだった。

 

チャーミング歯科医の罠。

前々回、歯を抜いたハナシを書いていて思い出した、ちょっと懐かしい香港の思い出でした。

2020年10月25日日曜日

断線イヤホン

イヤホンが聞こえなくなった。

そんなに安物を買ったつもりもないし、二年経ってもいない。「ガリ」とも言わず左右聞こえなくなった。非常にアタマにくる。これほどシンプルなものだが保証は一年ついている。ついているが、一年と少し経つと壊れるように作るのもまた技術なのか。

やはり安物だったのか


全てが安っぽく見えてくる。これは年を取ったから昔のものは頑丈でよかったなどという懐古主義ではない。三十年前の家電だって壊れるものは壊れた。だが修理がきいた。さすがにイヤホンの修理をしたことはないが、四十年前、イヤホンごときが断線することはなかった。

 

覚えているなかで、例えばコンセントのプラグなどはよく直した覚えがある。ねじ回しで開けて線を確認、切れていればつなぐことができたからだ。今のプラグは樹脂で一体化されているのでそもそも分解はできない。(そういう意味では断線も滅多なことにはしない)

 

パソコンは今でこそ一人一台、複数台を駆使している人もいよう。だがいろいろな「不具合」は起こる。当初は数千円、いや数万円するようなソフトなどもパソコンとの「相性が悪い」という一言で片づけられていた。ハードの不具合はさらに目も当てられない。何台目かで、安さにひかれ、D社のパソコンを買ったがハードも、カスタマーセンターも何もかも、ことごとく期待を裏切られた。自分で言うのもなんだが、無理難題を要求したのではない。思い出すだけで今でも腹が立つ。

 

聞こえなくなったイヤホンだが、よく見ればメーカー名などどこにも書いていない。とんでもない安物だったのだろうか。

 

 

 

2020年10月22日木曜日

8020早くも脱落か

何と、歯にひびが入り、もう治療できないというのでそのを歯を抜いた。

親知らず以外で大人の歯を抜いた。

で、その後の選択肢は三つだという。①ブリッジ、②義歯、③インプラント。

それぞれのメリット、デメリットをまとめてある紙を見せられた。①はその左右の歯を削らねばならない。②は左右の歯にばねで負担がかかる。③はもう完全に外科手術。そこで、ギシにした。入れ歯だ。それは、完全に「老人のもの」だと思っていた。祖父母の家に厄介になっていた頃、じいちゃんもばあちゃんも入れ歯を外して掃除していた。

 

歯に関することでとにかく驚いたのは、子供は元来虫歯菌を持っていないということ。だから親がチューチューしなければ虫歯にはならないということだ。親(通常は親だろう)の唾液からとしか考えられない。衝撃的である。菌をもらってしまったばっかりに、虫歯になり、ギンギン削られ、被せものをし、そのうち神経を取ってしまい、ブリッジでしばらくしていたら、別の歯が割れ、ギシなる入れ歯をする羽目になり・・・。義歯と虫歯の関係はないかもしれないがいずれにせよ、スタートは持っていなかった虫歯菌を植え付けられたことに始まる。

Lets 8020HPより


ブリッジはすでに三か所、もうこれ以上健康な歯を削るわけにはいかない。そしてブリッジ。最も違和感なく、噛む力も歯と同じだが何と言っても大手術だ。これは避けたい。費用を賄えたとしてもだ。

 

いつから始まったか、8020運動なる啓発活動がある。80歳になっても20本以上自分の歯を保とうというものだ。 

https://www.8020zaidan.or.jp/what/ (Lets 8020HPより)

 

永久歯は人によって異なるが、親知らずが生えたり生えなかったり、抜いたりすることもあるため、28本から32本とのこと。

何ということだ、そのうちの貴重な一本を抜いてしまった。抜いた後の歯を見ると、確かに縦にひびがしっかりと入っていた。ちっとも永久ではない。弱っちい。

 

だが本日最も衝撃を受けたのは、抜いた歯の根っこのところが臭かったことだ。エナメル質にこびりついた積年の食いカスか、はたまた菌の臭いか。自分の体から出てきた初めての、そして滅多に機会のない初めてのニオイ。まあ受け入れるしかないだろう。

 

2020年10月19日月曜日

パンチェッタ? 豚バラの塩漬けだろ?

パンチェッタと言うとなんだかわからないが豚バラ肉の塩漬けといえば、なんだそうか、と分かる。

ストレス解消、コロナ禍の在宅余暇時間、美味いモノを食いたい、いい精肉店があるなど、いろいろな理由から作ってみることに。豚バラといえば、「煮込む」の一辺倒だったがたまたま見かけた動画が簡単そうだったので作らずにはおれず、早速バラ肉を購入。いつもの精肉店で「バラ1キロ」というと、肩ロースではないのに嫌な顔せずしっかり塊を切ってくれる。

パンチェッタなるものを改めてネットで検索してみると、塩をすり込んで冷蔵庫に入れておくという基本はわかったが、塩の分量、ラップするしない、密閉なのか、塩抜きのタイミング、キッチンペーパーだけでよいのかなどはかなりばらつきがある。ようは適宜加減をしろということだ。

6日目のパンチェッタもどき


結局、塩は肉重量の5%と、タイム、ローズマリーを少々。キッチンペーパーでくるんでタッパーに入れてみた。たいがいのネット情報の通り、3日間くらいは肉の水分が出るので毎日ペーパーを取り換える。その後は様子を見ながら1週間放ってみた。いや、厳密には6日目に我慢できず焼いてみた。

 

しょっぱくてたまらん!

これではいかに自家製であっても体に悪い。そう、3日経ったら塩抜きするという工程を忘れていたのだった。ところが、別のサイトでは調理する前に塩抜きすればよいというのを見つけ、そちらの方式にすることに。断面が1センチ角、長さ5センチほどの直方体に切ってじりじり炙ったところ出るわ出るわ、フライパンは脂の湖になってしまった。

 

これだけ脂を出し切ったのだからヘルシーだ、というあまり根拠のない自分への言い聞かせの甲斐あり、なんとも美味だ。もちろん塩気はきつい。だが販売されている加工食品よりはヘルシーだ、というこれまた何の根拠もない理由をひねり出してみる。結局自分が作った者はほぼ美味しいのだ。

 

塩漬けしているのだから、保存はきくはずだ。

1週間と1日。すでに半量になっている。

2020年10月18日日曜日

カセットテープの時代は再び来るのか

カセットテープ コンプリートブック

 

冷たい雨の土曜に図書館へ行き、予約しておいた本を受け取った。開館直後のため閲覧室には人影まばら、一方新聞目当ての人たちはしっかり陣取っている。本をかばんにしまい込み帰ろうとしたが、少し書棚の間を見て回った。「今日返却された本・借りられます」「今月の新刊」など利用を促す工夫がされているがたいがいは素通りする。

内容は古いのに新しい本


だが雑誌サイズの書籍に目が留まった。

カセットテープ コンプリートブック というタイトルで、ステレオ時代という雑誌の特別編集とある。発行は平成291214日なので古くはない。カセットについての雑誌なのに新しい本だということが、視覚的にも訴えるものがあった。本の背にはタイトルに加え、

あのころのカセットの全てがわかる一冊

とある。かなりの入魂だ。そして、「僕らの青春はカセットテープとともにあった!」とも。

 

音楽好きならお気に入りのレコードを買い、曲の長さを計算しながらテープを選んだりしたはずだ。ラジオ番組を録音したりもした。またドライブを想定し、風景や時刻も考えに考えてオムニバスを作ったりもした。

 

ひょっとして、お宝か?

本によれば、1964年フィリップ社が発表した「コンパクトカセット」がその始まりらしい。音声メモ的な用途だったものを音楽再生用途に進化させたのが日本の電機メーカーとテープメーカーの努力だったと書いてある。偉い!そういう努力。1993年以降はミニディスクにとって代わられていく。

とにかく年代ごとのカセット写真にいちいち頷く。TDK、マクセル、ソニー、デンオン、BASFなんてのもあった。雑誌の後半には歴代ウォークマンがびっしり並んでいる。

 

そういえば、1990年、北京で飾りっ気のない「SONY」のテープを買って、北京語言学院での授業を録音し復習などしていた。すいぶんと安値だったが音声メモ用途としては十分役割を果たした。テープのことを、中国語では「磁」と呼ぶが、カセットやコンパクトの部分はわからない。磁気を帯びたテープだから「磁」。まあ納得だ。

ある意味、こっちもお宝か?


カセットを駆逐したミニディスクは短命に終わり、音質は半永久的と言われたCD(コンパクトディスク)ももはやその役割はほぼ終えている。多少の懐古趣味などで一時的に盛り上がることはあっても、「あの頃」には戻らない。

2020年10月11日日曜日

【書籍】死の教科書 五木寛之著 宝島社新書

 さすがにおどろおどろしいタイトルをつけ過ぎて反省したのか、サブタイトルに

~心が晴れる48のヒント~

とある。売らんがための強烈なインパクトを与えるためか。五木寛之サンの本らしからぬタイトルだが、サブのような書は世にあふれていて、誰も手には取らないだろうとも思う。

 

タイトル怖い

1998年(平成10)年から2011年(平成23年)まで連続で3万人を超えていた自殺者は、減少傾向にあるものの、2019年(令和元年)でも2万人を超えている。

https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/R01_jisatuno_joukyou.pdf

警視庁 自殺者数の年次推移

 

自殺を考えないまでも、絶望の淵にある時、「救い」を求める気持ちになるのは自然なことだともう。しかしながら、いくら神頼みしたところで宗教にはその状況をたちどころに直してくれる効能はない。

 

「聖書の中にはイエスキリストが病めるものを治したり盲人の目を見えるようにしたり立てないものを立たせたりという奇跡の場面が数多く描かれている。日本で古来より宗教と呼ばれているもの、すなわち神道や神社などは、国家安寧や五穀豊穣、病気平癒や商売繁盛の御利益を求めて祈願する対象でした。しかし、宗教には本来、そうした現世利益の効能はありませんし、人生の苦しみを軽減したり、取り除いてくれたりすることもありません。どれほど深い信仰を得ようと苦悩は尽きません。老いや病、死の影は、私たちに迫りくるのです。では、宗教や信仰にはどんな役割があるのか。それは、人生の不条理、生きることの不安や苦しみに直面したとき、それを抱えながらも何とか進み続けるエネルギーを人に与えてくれることではないでしょうか」(死の教科書、五木寛之著宝島社新書より)

 

やはりどのような苦難、状況にあっても自ら模索し動きだし、これに対峙する以外にはないのだということがわかる。宗教はそのためのエネルギーを与えてくれる。それならその役割は理解できる。

寺へ行っても、神社へ行っても、そして教会に行っても(あまり機会はないが)頼み込んでしまう自分はエネルギーに満ち溢れていそうだが、果たしてパワーは足りていない。

どうやらチャンポンでは効き目はなさそうだ。

 

2020年10月9日金曜日

オーブン調理のバラ肉で「コピリンコ」

テレビで見た通りに作ってみただけなのだが、あまりの出来の良さに、自分は天才だと改めて思う。すりこむ塩の量は肉の重量の5%だというのでやってみたら塩辛かった。3%で十分だ。この塩梅が難しいが一度味を確かめればもう大丈夫。つまみのレパートリーがまた増えた。

使いでのあるガスオーブン


肉屋にもだいぶ投資をして、素材を引き出せるなどと勝手に思っていたら、昨日作ったカレーの肉は残念なことをしてしまった。100800円もしたのに、硬くなってしまった。

東京農業大学名誉教授の小泉武夫サンの日経夕刊コラムがもう20年も続いているとは知らなかった。その独特の味覚表現から、読んだものを次々作ったり、食したりしてみたくなるから不思議な力のある文だ。我が家には「食魔亭」なる厨房はないが、真似事で作ったつまみで、「コピリンコ」は毎日のことだ。これは小泉サンが酒類を味わうナイスなフレーズだ。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64539980S0A001C2KNTP00/

105日 日経夕刊 クルマエビの香草焼き 弾む歯応え、至福の風味

 

そう、バラ肉はブロックのまま塩をすりこんでラップでくるんで冷蔵庫で1時間以上置く。好みでローズマリーやタイムなどをパラパラ振りかけて180度のオーブンで70分、以上。あまりにシンプルでいい。

 

もう一つの塊肉レシピは、肩ロースのロースト。こちらも塩をすりこんだら塊の底面に切り込みを数か所入れてにんにくを差し込む。寸胴にオリーブオイルを入れて焼き目をつけたらローリエを数枚のせて蓋をしてそのままオーブンへ。140度で3時間。これなんぞ、ブイヨンもばっちりとれるので、スープによし、炒め物によし、重宝する。

 

ちなみにバラ肉は脂も多いが、オーブンで長時間料理するため、家人は「脂は完全に落ちている」という厳しい言い訳をしながらしっかり食べている。

 

いずれも作ると決めたら1キロ買うのでまつ蔵精肉店のご店主は「今日はバラか肩ロースどっちだろう」という顔をしてくるが、そう毎回1キロ食らっていては体に悪い。

「惣菜用の切り落とし200

と言うと、別に意地悪をしているわけではないのに、ちょっとがっかりしたような表情になるのがオモシロイ。


魚でも「行きつけ」を探したいと思っているが、さばき方をマスターしてからか。

2020年10月1日木曜日

安堵する無責任なアドバイス

月が変わったからではないがオフィスへ向かった。電車もそこそこの混雑だった。

オフィス需要が減少する真っただ中、改装されたピカピカのフロアで仕事をする。在宅勤務時には「通勤時間も悪いもんじゃなかった」などと懐古し、出勤すればしたで、「電車も階段もやっぱり疲れる」などと言いたい放題。気楽なものだ。

人の少ないスカスカオフィスで気力なく仕事をしていると、長年のつきあいである友人Uから電話がかかってきた。異動願いを出したらしい。この年で果たして聞き入れられるものかは定かでないが、子会社から本社を目指し、60歳以降の働き方も視野に入れた作戦は実に周到だ。電話ではやる気がなさそうだったが環境を整えるという努力は惜しまないようだ。

アドバイス


それを聞いたからといって、こちらが奮闘するはずもなく、気の置けないUだからこそ、自分があらゆるコミュニケーションを避け、最小限にしているという本音も言える。コミュニケーション部門にいるのにそれができない自分には、もう存在価値は無いのだ。50歳を過ぎれば人にこっぴどく怒られることもない代わりに、褒められることも全くない。ただただ、ひとりで落ち込んだり、気を取り直したりするだけだ。

 

そんなウツな自分をUは励ましてくれる。

励ましといっても、がんばれとか、これを実行すべしなどとは、ひとことも言わない。こちらが怠けていると言えば

 

いいんじゃない

それでいいと思う

 

という誠に無責任なアドバイスをくれる。そしてそれにひどく安堵するのだ。

 

Uが困っているだろうと思われるときには自分もそんなようなことを返す。世間ではこれを傷のなめ合いともいうかもしれない。今日も20分ほど話したが、会話のあとが心地よかった。

嫌な部署にまだあと数年いるのは耐えられないといえば、これまで過ごした嫌な時間と、退職までの時間を比べ、後者が圧倒的に短いことから、「もうすぐじゃん」と言ってくれる。

 

まあ、それはそうなんですけど。

 

2020年9月26日土曜日

喜怒哀楽、その総量の絶対値が豊かな人生

喜ばしいこと

怒れること

哀しきこと

楽しいこと

 

嬉しいことや楽しいことが多いほうがいいと今でも思っている。だが実際にはそうではないことも知っている。だから等分であればそれでいいではないか、と五木寛之サンのエッセイを読んでそう思っていた。

 

還暦からの底力(出口治明著、講談社現代新書)で紹介されている、小田島雄志サンの考えは「人生の楽しみは喜怒哀楽の総量である」というものだ。喜んだり怒ったり、哀しんだり楽しんだりがたくさんある方が面白いし、人生は豊かになるはず、だからプラス・マイナスの計算ではなくその総量の絶対値で捉えたほうがいいと出口サンは言っている。

それでも右肩少し上がりならいい


そうなると、これまで散々味わってきた「哀」の部分が多い---すなわちマイナスの大きな絶対値を持つ---我が身としては、ぐっと「豊かな人生」に転じることとなる。

だがそれは振り返れば言えることだと思う。その深い霧の中にいるときは辛いのだ。出口も見えなければそのまま一生涯晴れることもないだろうと悲観することもしばしばだ。ブッダも究極のマイナス思考からスタートしたことを考えれば、そう気軽にプラス・マイナス関係なく絶対値が大きければよいという考えには至ることができない。

 

それこそ、マイナス思考なのかもしれない。

だがそう思ってしまうものはしかたがないのだ。皆が出口サンのように、或いは小田島サンのように考えることはできない。しかしながら、一縷の望みというか、新たな視点を持つことができるのは「嬉しい」。

 

流行りの本は図書館で

心の持ちようで鬱が晴れることは実感としてわかっている。それがコントロールできない状態が病であることもハッキリしている。よく研修などで見かける、喜怒哀楽の感情を表す曲線を手書きで示すグラフを書くとするならば、やはり、ジグザグしながらも緩やかに右肩上がりになっていればそれで良しとする他はない。

流行りの書籍を読んで、それでも素直にハイハイとは聞けないけれど、それが自分でもある。

 

2020年9月25日金曜日

車が車でなくなる日

カリフォルニア州で2035年までにガソリン車の新車販売が禁止されるという。所有することや中古車を排除するものではないというが、かなりショックを受けるニュースだ。

環境問題待ったなしの状況においては、むしろ遅いということかもしれない。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200924&ng=DGKKZO64175400U0A920C2MM0000

924日日経夕刊 米カリフォルニア州、ガソリン車の新車販売禁止へ

 

ガソリンエンジンの原型は、1860年にフランスのエティエンヌ・ルノワールが「ガスエンジン」の特許を取ったことにあり、これが初めての実用的な内燃機関といえるそうだ。

https://www.webcg.net/articles/-/36567

 

中学校の「技術」の科目でも内燃機関は学習した。技術科教室の外には廃車となったトヨタ・コロナが置かれていて、ボンネットを開けてエンジンをのぞいたりした。高校ではさっそく「原付」免許をとり、50CCのシリンダーを唸らせた。車体重量と自分の体重を合わせたものがたった50CCのシリンダー内部での燃焼により走る力に変わるのだからそのパワーは強大だ。箱根の坂を走ったときなど、悲鳴と煙が上がっていた。

技術科教室の外にあったトヨタ・コロナ


オカシイ!と言われそうだが、排ガスの匂いは嫌いではなかった。モクモクは困るが車もバイクもほどよいノイズやスモークはエンジンの鼓動だと思えばむしろ応援したい気持ちになった。

YAMAHA MR50

また、好きだったわけではないが、大型バスのディーゼルエンジンの音と排ガスは、スキーバスの思い出でもある。(さすがに当時の車内のたばこの煙には閉口した)

新宿から夜行バスでスキー場へ


そのガソリンエンジン(ディーゼルも)が禁止され、なくなっていく。代替として電気、水素は定着するのか、はたまた何か画期的なクリーン動力が発明されるだろうか。それとも車に乗らないという発想の転換が起きるのか。

地球上ありとあらゆる場所で排ガス出せばそれは天候も変わるだろう。期待されるイノベーションは滅ぶ日をどれだけ伸ばせるかというあがきでもある。

 

「地球上の生物の歴史は約40億年あり、その悠久の歴史のなかで私たちの直接の祖先であるホモ・サピエンスが生まれたのがわずか20万年ほど前であって、あと10億年で地球上の生物の歴史が終わることもわかっています。太陽が膨張して地球上の水が失われるからで、フランスの社会人類学者クロード・レヴィ=ストロースが人間なくして地球は始まり、人間なくして地球は終わると述べた通りです。」(還暦からの底力、出口治明著P77

 

人間は勝手に湧き出て、自然を謳歌し、破壊してもろとも滅びていくということか。20万年前に生まれ、残りがあと10億年ならまだ「未来」はありそうだが。

 

先は長いのか短いのか?

 

2020年9月22日火曜日

コロナ前には戻れない病

リモートワークも完全に定着したが、そんななか、オフィスの改装は続いている。もちろんコロナなどみじんも存在していなかった頃からスタートした改装は途中でやめられるはずもなく、「新しい働き方」を目指す理想の場として整えられている。

 

もう二度と乗ることもない?

皮肉にも、リモートワークが新しい働き方の大きな選択肢の一つとなっていて、口の悪い者は、「会社へ行く意味がわからない」とさえ言う。コストをかけて改装してしまったカイシャは「生産性を高めよ。そのためにはどこで働いていてもかまわない」と半ば投げやりな感じが漂っている。

 

「世界のオフィス一変」という記事では、金融やIT企業を中心にオフィス面積を縮小していると伝えている。一方で郊外にサテライトオフィスを構えるといった動きもみられる。拡張の代表例として米アマゾンが挙げられているものの、代表例の次が記事には見つからない。また、コスト削減の視点で見られるようになったフリーアドレスも感染防止の観点から禁止の動きが出ている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64037880Y0A910C2SHA000/

世界のオフィス一変 / 日本経済新聞電子版9/20

 

やはりトレンドとして都市部のオフィスから、在宅や郊外型となっていくのだろう。ワーケーションも取りざたされているが、例えば避暑地や温泉地へ行ったら仕事などする気にはなれない。

 

いまや「コロナ前に戻る」ことは罪悪とさえする論調が目立つ。すなわちオフィスに出社して顔を突き合わせていた「あの頃」の働き方だ。苦痛を伴う通勤時間や、長いミーティングは確かに困ると思う一方で、そうした従来の「ワイガヤ」から生まれるものがなくなることへの懸念もある。

双方が納得するようなデータはあるのだろうか。

確かに満員電車通勤は苦痛でしかなかった。だが、ずっと自宅にこもっての仕事はオンオフの切り替えが難しいという実感がある。通勤がないということは帰り道がない。すなわち寄り道もできない。またダラダラミーティングは願い下げだが、近所の席の人に声掛けすることでスムーズに仕事が進むことも多々あった。

では、ワイガヤから生まれていたものは何か。あるだろうと思いつつ、とてつもないイノベーションが生まれたという記憶はない。

 

「もうもとには戻れない病」に感染した経営者は拡大の一途だ。

2020年9月21日月曜日

両刀使いで健康を維持すべし

土曜、日曜、敬老の日、秋分の日という豪華四連休。

本来なら実家へでかけたり、墓参りしたりしたいがままならない。先月から出戻り長男が加わり、図らずも家族での夕食の機会が増えた。なんと贅沢で貴重なひとときだろうか。ひと頃、不健康に太り始めた長男は自力で復活。今はジムに通い節制しながら健康的な姿に戻った。長男も次男もどうやら酒は嫌いではないようだ。

住宅街にひっそり


辛党の反対は甘党。

妻が先日、近くのモールで大福を買ってきた。甘いものを食べる、それはそれで美味しいのだが食欲がなくなるため、夕食前には決して食べないようにしている。そして夕食後に一口食べてみると思ったほど甘くはなかった。悪くない。

 

そして昨日、ビールが切れたのでモールへ行こうとすると、妻が例の大福を買ってきてほしいという。特設売場に並んでいたのはあんの種類が豊富なイマドキの大福だった。こしあん、ごまあん、よもぎあたりはよいとして、みかん、いちご、ピーナツクリーム、カスタード・・・。10種類以上はあっただろうか。

 

そしてそして本日、散歩に出た先は区内で評判のケーキの工場直売所だった。なぜそこになったのかは分からない。駅からも遠く、住宅街にひっそりと看板を出している。ほとんど全品がホール売りだ。これまで近所のケーキ屋で買う時は、家族の誕生日でもカットしか買わなかったのに。我が家は一時的に人口も一人増えたし、ホールケーキでもダイジョブだと根拠のない確固たる信念のもと、ティラミスを購入。自宅から片道30分強、それだけ歩くのだから食べてもよかろうという正当な言い訳が加わる。5号(約15センチ)1900円。

家に戻るなり、スプーンで少しすくってみる。濃厚な美味しさ。これ以上食べると夕食のビールが飲めなくなるのでストップ。ちょっとうまくて困っている。

 

長男が最近夕食の際、米を食べない。アルコールを飲む時はカロリー総量など何となく計算していると見える。甘辛攻撃で誘惑してはならないが、そもそも自分が危うくなってきた。甘くても辛くても美味しいモノはやはり罪作りだ。

2020年9月13日日曜日

【書籍】こころの相続 五木寛之著SB新書

もちろん不動産、株など金融資産相続のハナシではない。

自分は親からどんなしぐさを、考えを、姿を、あるいは味覚を受け継いだだろうか。

また、暮らした土地、地域から沁みついたものは何だろう。

 

何を残せる?

昭和七年生まれの五木サンは、筆舌に尽くしがたい朝鮮半島からの引き上げの経験をしている。それはエッセイの中でも、以前より少しずつだが頻繁に書き記されている印象を持つ。14人の作家による文庫オリジナル戦争小説集、「永遠の夏」(末國善己編、実業之日本社文庫)にも「私刑の夏」を寄せている。

若くして両親を亡くし、親から受け継いだものは何一つないと思いきや、実は学びがしっかりあったという。

 

翻って自分はどうだろう。

額の禿げ方、やせ型体型、使いづらい万年筆。

実家でももうどこかに仕舞われた父の遺影のイメージは、自分で今鏡を見るとなんだか似ていると思う。小さいころに海に連れて行ってもらったとか、休日にはチャーハンを作ってくれたなど、些末なことは覚えているが、父は入退院を繰り返し、自分の高校入学式当日に亡くなったので、あまり多く対話をした記憶がない。声は覚えていても、話し方の特徴やくせまではたどれない。

 

では、母からはどうだろう。

洋裁で身を立てるという道もあったようだが、結婚して家庭を守るという道を「選んだ」と以前聞いたことがある。昭和30年、40年代といえば高度成長まっただなか、ほとんどの女性は同じ道を「選んだ」ことだろう。

月並みだが、家庭の味、家庭での調理やスタイルを目の当たりにできたのは有難かったと思っている。食べ物を粗末にしない、しっかりだしをとる、献立は大人と子供をきちんと分けて父の酒の肴を準備する。

 

そんなスタイルを見たおかげで、今でも子供たち---といっても今はほとんど家にはいない---に食事を用意するのは苦ではないし、たとえインスタントが混ざったとしても何かしらひと手間加えることは必ずするようにしている。これは素晴らしい「相続」だと自画自賛している。いや、自画自賛ではなく親に感謝だった。

 

一生懸命に何かを残そうなどとは思わないが、「人の手本にはなれないが、見本くらいにはなれるだろう」と密かに思っている。

 

2020年9月12日土曜日

セミをとってはいけません

セミ幼虫捕獲禁止 / 不要捕蝉的幼虫

 

三日前、朝のジョギングでいつもと違う方向へ走った。そちらには大きな公園があり11キロ強のジョギングコースがある。緑が多く、広い園内にはテニスコートが4面ある。朝の散歩に、ジョギングに、たまのサボりにうってつけだ。

 

走り始めようと思った時、今まで気づかなかったが貼り紙が。

 

遠目に見ると中国語しか見えない

不要捕蝉的幼虫

在公园中的动植物的采用被禁止

セミ幼虫捕獲禁止

公園内での動植物の採取は禁止

 

中国語の文字級数のほうが大きい。一行だけ、文字の線は細いがハングル文字も書かれている。中国語としては何かしっくりこない。取ってはいけないということはイラストもあるのでわかるだろう。どう直せと言われても分からないが語順も異なる気がする。

 

セミの幼虫の捕獲目的はわからない。わからないが羽化するのを近くで見届けたいという子供心の好奇心とは明らかに異なりそうだ。役所に尋ねた人のブログもある。

https://semitama.jp/report/1899/

食用でセミを捕らないでという看板の真相。役所に聞いてみた

 

食用として紹介しているページもあるが、これは見るにとどめておこう。たんぱく源として昆虫食が世界的に注目を集め始めているがまだ自分には厳しい。だが、見る人から見れば、我々が美味しいと言っている中トロなど、「生で赤い魚の切り身など誰が食うか」という人がいてもおかしくない。(人口としてはそっちの方が多いか)

 

1990年、北京のスーパーでは蟻の瓶詰を売っていたし、レストランで蠍の素揚げもあった。蠍はトライしてみた。素揚げなのですなわち姿揚げなのだがさすがに口にするには時間を要した。が、目をつぶってカリッといけば、完全に食べなれた「かっぱえびせん」なのだった。見た目と味のギャップが忘れられない。

ビールのつまみに・・・とまではまだいかない。

 

2020年9月10日木曜日

かぐわしき、沈香

カンラン樹ジンチョウゲ科ジンコウ(アキラリア)属。

ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアなど東南アジアの国々で産出。

水沈香樹の樹脂分だけが残ったものを総称し沈香という。原木は比重が軽く、樹脂が含まれることで比重が増し、水に沈むことから、正しくは沈水香木という。

http://www.kyukyodo.co.jp/product/incense/materials.html

鳩居堂HPより

ひたすら落ち着く深い香り


お寺の匂い、葬儀の際の焼香の匂いを想像するが、全く異なる高貴な香りがする。20本入り、6㌢で1300円(税抜)は感覚的にとてつもなく高いが、比べるものがない。1本あたり71.5円。家で薫り高い落ち着きのひとときが過ごせると思えば安いのか。この香りで落ち着くと感じるのはシニアの域に達したか。

 

「沈香の中でも特に樹脂分に富み、最高級の香りとされる。玄妙な香りが特長」とあるのが、沈香の倍以上の値が付く「伽羅」だ。「玄妙」という進出単語は、goo国語辞典によれば「道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれていること。また、そのさま」。要は奥深くすばらしいということだろう。

 

香り、薫り、匂い、におい、臭い。

欧州では化粧品市場の売上の半数がフレグランスだ。体臭と混ざり合い、その人の個性になるという。それは香しいのか、ビミョーなのか。臭いのか。翻って日本では「無臭」癖というか、強い香りは敬遠されるし、漂白剤の強いにおいなどは「香害」とまで言われる昨今。

 

腋臭も臭いというが、人によっては魅力と感じる人もいる。食べ物の匂いもその土地の文化に深く根差している。事程左様に人によって感じ方は千差万別。

加齢臭の正体はノネナールという物質だが、これとて、人によっては祖父、祖母宅で嗅いだような「懐かしい匂い」というひとも存外多い。一律に目の敵にするのはいかがなものだろう。

 

香炉はちょっと今風

特にお香に興味があったわけではないが、香炉まで買ってしまった。そうなると、種類の異なる香を、同じ香炉に入れる気にはならない。沈香ひと筋でいくか、普通の皿の上で別のを焚くか。残り一本になった沈香を見つめて、次を思案している。

2020年9月6日日曜日

秘儀、ワルツ走法

 ゆっくりという概念を超えたスロージョギング

「減量やメタボ対策、生活習慣病の予防や治療、サルコペニア*や脳機能の改善に効果的である事がわかっています」とある。

*サルコペニア(sarcopenia)とは、加齢によって骨格筋の量や機能が低下している状態のこと。

http://slowjogging.org/about

スロージョギングとは 同協会ホームページより

 


これに出会って早6年くらいか。完全に習慣となった数少ないものの一つだ。メタボ予備軍からも完全に卒業でき、体重もキープ。ハーフマラソンにチャレンジするまでになったのは、自分でも驚きだ。しかもビールもとんかつも我慢する必要がないのはありがたいことだ。


スロージョギングの考案者、故田中宏曉先生(福岡大学名誉教授)の指導を受けた時に、呼吸も腕の振りも自動(考えなくていい)、とのことだった。

 

考えなくていいとは言っても呼吸は気になるものだ。たいがいは「吸って、吸って、吐いて、吐いて」の四拍子だと習う。ランニングに効果的な呼吸法では四拍子か三拍子だが後者は少ないと記してある。

https://runnet.jp/smp/community/beginners/training/1188090_1647.html

ランニングに効果的な呼吸法 RUNNETホームページより

 

そう、自分にはその少ない三拍子がピタリとあっている。スロージョギングを習い始めた時の練習が三拍子の音楽を使っていたため、しみついてしまった。苦しくないし長続きする。「吸う、吸う、吸う、吐く、吐く、吐く」が「タンタンタン・タンタンタン」と小刻みなリズムとなり、スムーズに進む。これを勝手に「ワルツ走法」と呼んでいる。

 

ワルツ走法は、ジョギングになっても変わらない。10キロ、ハーフマラソンにチャレンジした時も三拍子で走り続けた。最後の方できつくなれば四拍子にする。するとラクになる。



ボルトなら100メートル10秒として1Km 140秒、1人約20キロ走る箱根駅伝なら1Km 3分、スロージョギングは人によるが、1Km 8-9分ほどだ。ウォーキングしているひとを追い越さない練習もあった。

 

これだけは続けて、健康寿命を延ばしたいものだ。

1丁目のバーガーキング

前回ハンバーガーを食べたのは、 2019 年 2 月、サンディエゴの Burger Lounge だ。滅多に食べないこと、そして滅多に行かないアメリカで食べたのでよく覚えている。彼の地に住む中学時代の同級生が連れていってくれた。アメリカーンな美味しいものだった。 最寄り駅にバーガ...