2020年7月23日木曜日

五年前の「新常態」


以下の記事は、コロナ禍で在宅勤務が半ば強制的にスタートしたのち、「もうこれまでのような働き方に戻ることはない」と高らかに宣言する経営者たちの声を記したものだ。

 
こういうわけにはいかない
202076日時事通信
コロナ禍を踏まえ、富士通は「感染抑止後も以前の形に戻ることはない」(時田隆仁社長)として、場所や時間にとらわれない働き方を実践。時田氏ら役員、管理職もテレワークが基本といい、最先端のデジタル技術を活用し、「新常態」の働き方やビジネス革新を支える事業をアピールする狙いもある。

この手の記事はまさに万とある。自分の所属する会社も同じだ。以前からテレワークを制度として持っていたところはここぞとばかりに「前からテレワークを推進しており、対象社員は増えたがスムーズに実施できている」と胸を張る。

形だけ制度はあったものの、実際には実施していなかったところも、「実施してみて業務上何ら障害はないことが分かった」と強がりを言う。

本気でテレワーク、すなわちどこで働いていても結果を出し、これを評価するというやり方は、日本の大企業や古い会社にはまだなじんでいない。終身雇用、年功序列、残業という概念があったらもう無理だ。

目指すべきは「ジョブ型」と呼ぶ。
722日 日本経済新聞 導入相次ぐ「ジョブ型」雇用、成功の条件とは

職務内容を明快に記したジョブディスクリプション(職務記述書)に沿い、それに適任と判断した人材を起用、賃金は仕事の難易度や専門性に応じて決めるというものだ。時間評価ではなく、成果評価。欧米では当たり前とされている。だが、誰が適任と判断し、成果は本人も納得の評価がなされるのか。

良い意味で本当の変革の時期にあるのだ、と思いたい。これまで日本企業は、大学や学部にほとんど関係なく会社に入って「ゼネラリスト」を養成していた。三十年以上しみついた自分にはあと三年生き残れるかどうかという瀬戸際だ。

ほとんどの記事の論調は、コロナ前の働き方に戻ることはなく、戻ることは罪のようでさえある。経営者のパフォーマンスにも見えるし、みんなが言っているから、という日本特有の同調圧力のようでもある。

ちなみに「新常態」は、中国の経済政策運営の基本方針を表す表現として2015年頃から定着し、とっくに「新常態」化している。(もちろんコロナとは関係ない)

2015422日 キャノングローバル戦略研究所
中国の「新常態:ニューノーマル」の本質は何か 習近平政権が目指す2つのアブノーマルからの脱却

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