2020年7月29日水曜日

三和大神の憂鬱


「三和ゴッド」とそのドキュメンタリーでは呼んでいた。

中国大陸の南端、広東省深圳市で日雇い労働を繰り返す人たちをそう呼ぶという。香港駐在時代に初めて行った深圳は九龍駅から一時間足らず。香港から行けば突如「中国」に入境するのだが、中国大陸を北京から南下していけば、明らかな「発展都市」だ。1991年頃にはマクドナルド一号店ができていたはずだ。(深圳なのに会計は香港ドルのレジのほうが多かった)

深圳は香港からすぐ

日雇いというと日本では中高年のイメージだが、ゴッドたちは若い。20代、30代。1日働いて稼いだ金で3日暮らす。食事も屋台で最小限で済ませ、ネットゲームなどに興じている。田舎から出稼ぎにやってきて一旦職には就くものの、仕事がきつかったり、なじめなかったりと理由は様々だ。
経済成長著しい都市におけるひずみと言ってしまえばそれまでだが、希望の持てない彼らに、「ちゃんと働けよ」などと言うつもりはない。

もし自分が中国農村部に生まれ、職もなければ、やはり大都市へ行っただろう。成功して金持ちとはいわないまでも、工人になれたかもしれない。だがゴッドになっていたかもしれない。それは本人の気力の問題か、教育問題か、都市・農村戸籍問題か、まだまだ経営者の思想の問題なのか。もう一日、そしてさらに一日働けば食事ももう少し食べたいものが食べられるだろうに。

その立場にいない人は彼らを不憫に思うかもしれない一方、存外本人たちは気にしていないかもしれない。向上心とか、勤勉とか、もっと明日を考えるとか、もっと稼いでいい暮らしをしようとか、「そんなこと」はどうでもいい、今が自分の生活だと思えれば爆発的な不満にはならないともいえる。

だがやはり自分の経験と価値観から見れば、不健康に見える。ゴッドたちの心中まで読みこむことはできない。

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